■耐震は接合部が命運を分ける
2016年に熊本地震がありました。
震度7にも及ぶ地震が立て続けに起き、約8000棟が全壊し、さらに新耐震基準を満たした建物も被害を受けたと聞きます。
そこで国土交通省は建物被害の原因を分析する委員会を設立し、そこで接合部の仕様で命運が分かれたと報告されたのです。
接合部とは、部材同士の取り合った部分を指し、主に筋かい端部や柱脚などの部分になります。
家を建てる時、打ち合わせで耐震壁の位置は説明を受けます。
しかし、接合部に関して関心を持つ人は少なく、ほとんどが設計者に委ねられるのが現状です。
新築を建てるとき、耐震対策としてぜひ接合部にも注目してみましょう。
■現場でチェックしておきたいポイント
まず、筋かいでの耐力を考える時は、間柱と筋かいが固定されているか確認しましょう。
これらが固定されていない場合は、中間部で筋かいに大きなたわみが生じる可能性があります。
また、筋かいは横架材と柱に緊結させることが原則となっています。
横架材のみ緊結されている状態だと、筋かいの効果は発揮されない施工かも知れないので、柱も緊結されているか確認しましょう。
そして、平成12年に建築基準法が改正され、ホールダウン金物の設置が義務付けられています。
しかし、これが正しく設置されていない場合があるので、チェックしておきたいポイントです。
ホールダウン金物は耐力壁になるところに入れます。
耐力壁の筋かい上部が取りつく柱の押さえなどに付けられているので、チェックしてみましょう。
■金物の種類と役割
・ホールダウン金物
ホールダウン金物は、地震などの影響で建物が水平力を受けた場合、引き抜き力に抵抗するために設置される金物です。
柱が土台や梁から抜けるのを防ぎます。
・筋かい金物
筋かいを柱や梁に固定させる金物です。
地震で筋かいのズレや引き抜きを防止します。
・羽子板ボルト
直行している構造材を固定するために重要な金物になります。
・短冊金物
梁の連結部分を補強するために使われます。
・かすがい
束や母屋、梁などを連結するために使われる金物です。
現場で確認するポイントと合わせ、これらの金物が設置されているか確認しましょう。
そして、設計士などから金物の説明をしっかり受けると安心できる家づくりを実現できます。