質の高い家づくりを目指すためには

■近い将来ではなく遠い将来を考える

現代の課題である高齢化対応の対策として、平成13年から17年度に第8期住宅建設5ヵ年計画が政府によって発表されました。
また、高齢者の住居安定のための確保に関する法律案も国会に提出されています。
福祉先進国であるスウェーデンでは、老人福祉医療制度を発足させていて、これは在宅介護を中心とした考えです。
生活の質を高めることで、自宅生活はどんなものにも変えられない宝であるということにつながります。
やむおえず自宅生活が無理になった時に、特別住居を利用します。
これが日本でいう、いわゆるグループホームやサービスホームです。

同じような医療制度が日本にも存在しますが、大事なのは高齢者になってもどれだけクオリティの高い生活が維持できるかということが言えるのではないでしょうか。
これを基に、家づくりをする前の段階で考慮しておく必要があります。
環境問題においても合わせて考えることができます。
これから何十年先まで長持ちする家づくりが期待されますから、どれだけ長く住みよい空間を作れるかが大切なのです。

■高齢になった時のことを考えて区切りをとる

わかりやすい例えでいうと、水まわりやトイレや階段の位置がどこにあるか、リフォームしやすい設計になっているかなど新築する時に意外と考えないことが、実はとても重要なのです。
トイレやお風呂を寝室の側にしておけば、高齢になった時壁を撤去する作業で直接の出入りが可能になります。
階段に関しては、家の真ん中に配置するとリフォームがしにくくなるでしょう。

木造建ての住居であれば、1階と2階の音も生活スタイルによっては気になってきます。
あえて上下の間取りをずらしたり、遮音や吸音の材料を入れておくなどして、お互いのプライバシーを守ることも手に入れられます。
このような例えを参考にすると、柱・壁・筋違いの取り方も考えやすいでしょうし、リフォームも行いやすくなるのです。

住まいづくりとは、「新築した時が最高」なのではなく、いかに時間と空間の経過によって深まりを増していくかが人生の豊かさにもつながります。
先のライフステージを考慮することは、ライフクオリティーを高めていくことでもあるのです。