徒然草の第55段を家造りに取り入れる

■日本の古き良き家は夏の暮らしを考えた家造り

日本の古い家をイメージすると、どのような家が頭に浮かんできますか?
庭があり、縁側があって家の中が見渡せる…。そのような風景を思い浮かべるのではないでしょうか?
日本の家は屋根と柱から構造されており、開放型の住宅です。
家の全てが繋がって、障子や襖などで部屋を区切っていました。

このような空間は夏でも過ごしやすいように作られており、高温多湿の日本の気候を組み取って、暮らしていく中で夏の暑さと湿気をどのように対処していくかを考えた造りになっているのです。
なので、扉を開けて開放的にする事で家の中に太陽の光や空気を取り込み夏は涼しく、湿気も防げる様になっています。

■徒然草の第55段

徒然草の第55段は知っていますか?
「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」
家の作りは夏の生活の事を考えて作るようにすると良い、冬は服を着込んだりする事で対処出来るが、夏の暑さには我慢が出来ないという意味になっています。
また、「天井の高きは、冬寒く、灯暗し。造作(ぞうさく)は、用なき所をつくりたる、見るも面白く、万(よろづ)の用にも立ちてよしとぞ、人の定めあひ侍りし。」と続いていきます。
天井が高いと寒く明かりも届かない。家造りでは用のない部屋がある事で、見た目にも面白く何かあれば使う事が出来て役に立つと人々が議論し合って決めていた。という意味になります。

■徒然草の第55段を参考にした家造り
徒然草の第55段を参考にすると、一か所何もない部屋がある事で、物がおけるスペースにもなりますし、お客様が来た時も使えると考えられます。
それは部屋でなくても収納でも良いでしょう。

リビングやキッチン、廊下や玄関にちょっとした収納スペースを設ける事で、使わない物を収納出来ます。
また、風が通りぬけやすい家を作る事で、夏は涼しく湿気が抑えられるようになります。
吹き抜けを作る事で、風の通りは良くなりますが冬が寒いと考える場合には、シーリングファンなどを設置して空気を回すようにすると快適です。

「人の定めあひ侍りし」家族みんなで考えた家造りが大切です。