家を建てるということ

■家は作るものであり、選ぶものではない
本屋やインターネットには、「賢い家の買い方」・「家の選び方」などの書籍や情報が沢山あります。
もちろん建売住宅であればこれらの知識は必要ですが、注文住宅の場合は性質が異なります。
注文住宅は家の選び方が重要なのではなく、「建て主-建築家-工務店」が三位一体となり作り上げていくものですから家族のニーズやこだわりに合わせて、また周辺環境を読み解きながら作っていくものなのです。

現代の住まいを見ていると、古美ていく美しさがなく、ただ陳腐と化していくような気がします。
そんな街並みを見ていると、住まいがいかに周辺環境を読まず、闇雲に建てられたかという事が分かります。
まるでクリスマスを過ぎたデコレーションケーキを見ているようで悲しい気持ちにさえなります。
消費期限を過ぎ、流行を追いかけるだけの住まいがあまりにも多いような気がするのです。

■ホームドクターを見つけましょう
自分の満足いく家が竣工し、その2~3か月後にベランダから雨漏りがしたとしましょう。
さて、その時の貴方の心境はどんな模様でしょうか。
手抜き工事だと言って怒りますか?それとも、人間が作るものだからと笑って言う事が出来ますか?
できることなら、こういうこともあるよと笑って答えられる人になって欲しいという願いがあります。
こういう思いが出来る人というのは、実際に現場に関わり、信頼関係を築いた証でもあるのです。
現場には一切顔見せせず、信頼関係も築かず、ただ単にビジネス的に終わった工事であると、手抜き工事だと批難することが多いです。

建築は工業製品ではありません。

ですから、定期的な手入れと点検が必要となります。
建築も人間と同じように、町医者的なかかりつけのドクターが必要なのです。
ですから、ホームドクターを見つけ、竣工後に文句を言いながら家を見てもらう。そんな関係づくりが理想と言えます。

人間の心は「知・情・意」の3分に分かれており、人生を作り上げるのは情(じょう)です。
つまり、施す心を持って家・業者・周辺環境に接すれば、おのずと良い家づくりのスタートラインが切れることなのです。